2013年1月12日土曜日

なぜ国内債券に投資しないのか

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前回はアセットアロケーションの最適化について説明した。リスクを高く設定しても、最適化されたアセットアロケーションは国内債券の割合が高くなる。しかし、私を含め多くの個人投資家は、国内債券に投資しないか低い割合でしか投資していない。

国内債券は国債、地方債、および社債を含むアセットクラスで、一般にNOMURA-BPI総合指数に準じて運用される。他の資産と比べて期待リターンは低いがリスクも低い。他の資産との値動きの相関係数が小さいかマイナスなので、資産に組み入れるとリスクがずっと低くなる。しかし、今国内債券に投資するのは得策ではないと考えている人が多い。

NOMURA-BPI総合指数を構成する債権の7割以上は国債である。以前日本国債は無リスク資産だと言った。満期まで保有すれば元本割れしないからだ。しかしインフレリスクはある。満期までのリターンをインフレが上回れば実質的なリターンはマイナスになる。

発行されたあとの国債は市場で取引されていて、インフレになれば利率の低い国債の価格は下がる。安く取引されている国債も満期には元本が償還されるので、その差額で利回りは上がる。このように国債もリターンの変動するリスク資産である。

問題はその価格推移だ。以下に示したグラフは10年国債の金利の10年間の推移を表している。5年以上金利が下がり続けているのがわかる。新たに発行される国債の利率は、国債の市場での利回りを元に決められている。金利の低下は市場での国債の値上がりを意味する。金利が下がり続けているということは、国債は値上がりし続けているということだ。
国内債券に投資する気になれない理由がここにある。この先も金利が下がり続けるとは考えにくい。金利が上昇に転じたら国内債券の価値は下落する。NOMURA-BPI総合指数の修正デュレーションは7を超えているため、1%の金利上昇に対して7%以上価値が下落する。価値が下がるとわかっているものに大きく投資する気にはなれない。

しかし、国内債券を持たなければ最適なアセットアロケーションにならないので、いつかは投資しなければならない。タイミングを計った取引で超過リターンを狙っても意味がないことは、長期分散投資では常識である。そのことはわかっているのに、私を含め多くの個人投資家が守れていない。まあそういうものなのだ。

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